よくみえるってどういうこと?

あいかわらず誰の役にもたたないだろう日記

ビアー!

銀座ライオン(もちろん1階)でなつかしいひとたちと会った。2020年まで在籍した会社の、委託月刊誌の制作チームである。

私は版元で管理(スケジュール切り、出し戻し、赤字反映と消し、各種許可どり、ギャラ設定と支払い、取材先へのお礼、企画だしとオリエン参加など)、外部編集者とライターとデザイナーとカメラマンとイラストレーターで回す。デザイナーとイラストレーターと私以外は月に1度国内取材にゆき、みなさんおとなでやさしく、自分の送別会もしてくださった。それ以来だ。いまとなっちゃ100%部外者なのにありがたいやね。

「休刊お別れ会」なので感謝している場合じゃないんだが、全員うっすら「いつまで続くことやら」とびくついていたから青天の霹靂ほどは…みたいな。

ところで、いま60すぎのかたたちの活力は半端ない。マスメディアがかっこよかったころバリバリだったせいか、脅威の疲れ知らずだ。

(ヤングは信じないかもしれないけれど、文系私立大学新卒の人気企業ランキングにずらっとマスコミ各社が並ぶ時代があったのよ。この間20代なかばの男子にきいたら「商社とか受けはいいのかな…わからないです(どう思われるかで会社選ばないし →この温度感がZ世代? そもそもZ世代ってなんさい?)」とクールに返されたが)

呑むわ寝ないわ高血圧だわで「このひとたち大丈夫なの…?」と訝しんでいたけれど、変わらずご健勝の様子。そういや当時も下の世代のライターさんと私が常にヨレヨレ、さらにずっと若い代理店の社員が次々辞める風潮だったっけか。

桜満開の週末、コロナもひと休み(→人間が決めた)のライオンは大盛況で、本場ドイツのビヤホールよろしく誰かが樽の上でジョッキ片手に歌いだしてもおかしくなかった。ビールがダメな私は一杯めの中ジョッキから胃腸の具合を悪くするも、トイレに籠るとか発疹はないので無問題。こっそりソフトドリンクに変え、ソーセージやらプレッツエルやらをおいしくいただいたしだい。

「年明けいきなり、2行<4月号で終了です。今までお世話になりました>のメールがきて」(目に浮かぶ、とりつく島のない文面…つい七五調に)とのこと。

ヒアリングによると(制作チームへ事細かに事情を明かすとも思えないけど)代理店と版元(元勤務先)の関係悪化、商品売上の伸び悩み、コストカット、どれも納得。代理店と版元だけぬけて、制作陣が残るスタイルはないのかなと一瞬考えるが…さすがに無理筋か。

しかたない。とはいえ、急だ。たいていの展開は急だけれども。うむ。

「そろって無職~」「や、私も…」「まあコロナ前から無職といえば無職だしね」「家賃きついから引っ越したいけど、それもお金が」「田舎暮らしも車ないと生きていけないでしょ。病院や役所が遠いのも不安~」「結局、金! か」などといいあいつつ、わりとみなさん明るくて。

ほとんどのかたはお子さん社会人だもんな。しんどいのはうちらの年頃。ライターさんの「着飾る元気もなくなって。これを機にグレイヘアにしようかという」に食いついたり。派生して「女はなにを選んでも負荷がかかる、むかつく~」なお決まりの流れになったり。

なんだかんだ楽しかった。モヤモヤを残さず去ったコミュニティはひょいっと戻れていい。もう二度と誰にも会えないだろうと思っていたけれど(それが送別会)、こんなふうに呼んでもらえたり、今後もなにかあるかもしれないし、ないかもしれない。

誰も誰かのことを恨んでも憎んでもおらず、さっぱりしたひとぞろいのいいご縁だったわ~と新橋にひとり向かうすがすがしい夜道…(みなさん3次会4次会に)。

親切。親切。優しい心。今年はほんとにこれがキーワードだなあ。