よくみえるってどういうこと?

あいかわらず誰の役にもたたないだろう日記

「犬」という字がもうかわいい

4月のおしゃべり会はTさんの新居方面で。気になっていた柴犬バー「木蓮」にも出向いた。おしゃべりとワンコ充ですよ。なんてこった!

あいにくの雨だったけれど(魔の京王線ホームを使用する緊張もな。私は新宿から初台や幡ヶ谷へ一発でいけたためしがなく、オペラシティに毎度汗だくで到着する女)Tさんのスムースな案内で、極力濡れないルートにて望みをすべてかなえることができた。ありがたや〜。

彼女の新たな最寄り駅は大都会、駅ビル自体たいへん立派で商店街にも活気が。詳細は後日ご紹介いただくとして、悪天候ゆえ速攻で駅ナカのチェーン店に並び、ケーキセットを頼んだのちさっそくおしゃべり。

バー開店までかなり余裕があったのに、あれこれ語らううち夜はまたたくまにやってくる。下戸で小心者のふたりは「すぐ入るってマナー的にアレなのかしら…」など出発点からびくびく。「居心地によっては1杯でさっと、こう、逃げる感じになるやもしれんし」「犬がいるかきいておくのもちょっとね」「このお天気だから、こない可能性は高いよ。でもそれも運命。練習と思おう」「よし!」下見までしてくれた(ありがとうありがとう)Tさんに導かれ、「木蓮」の扉をあける。

当然一番乗り。ソファ席へうながされると同時に、さっと動くなにかをみた。犬だ! やったね! 素直と素朴を前面に出し、飲み物と食べ物をオーダーする我々。

こういうとき、Tさんはめちゃくちゃ感じがいいのである。年齢も下だけれど家族構成でも「妹」の彼女は、慎重すぎてタイミングを逸しがちな長女体質の自分(完全姉キャラ)と違い、図々しくない絶妙~な塩梅でかわいらしく他人と距離を詰める。やばいひとでなければ相手もそこそこなついてくれたほうがコミュニケーションをとりやすかろうし、短い人生、誰だって横柄横暴丸出しマンは避け、あたりが柔らかくまともなひととつきあいたいではないか。先方がさっと心許すさまをみて、そのタレントにあらためて感服する私。Tさんと一緒でよかった。

なにより卯月(柴犬)がいてくれて!! なんなら5秒で隠れてしまってもかまわないのに(動物の意思優先)静かで優美で賢く上品な彼女は、我々の着席後ほどなくTさんの隣にしゅっときてくれたのだ。感動。

「ビジネスわかってますんで~」みたいな揉み手ムードはゼロ。来るお客来るお客の隣にひとしくそっとよりそう。とくに無理した様子もなく、なにしろ驚いたのは吠えたりうなったりを「まったく」しないこと。テーブルの上の料理にも関心を示さない。

どのひとも「知らない人間」なのに。バーのマスターのもと、くるべくして舞い降りた天使だ。犬はすべて天の使いだけれども。

小柄でバランスの整った顔。落ち着いた所作。正面からみているだけで心と体のこわばりがほどけたが、自分の真横にぺたりと座ってくれたときの喜びときたら。

感無量。これ以上のセラピーがあるか。自慢じゃないけど、私、子どものころ「ちいちゃん」(ビーグル・雌)と家出したからね。家族の無理解に憤って、世界で私をわかってくれるのはちいちゃんだけだって(あながち間違いではなかった)。弟も「将来はちいちゃんと結婚する!」と真剣にいっておったし、犬ってやつは。犬ってやつは。

などといいつつ、もちろんおしゃべりも怠らず。フルーティな甘いお酒を楽しみ、帰るころには雨もあがり。

いい街だなア(つつがなく新宿に戻れるようTさんにしっかり御指南たまわったうえ)。血から根こそぎきれいになった気分で帰途につく私だった。

犬は正義。友人とおしゃべりは生きる糧。