自分による自分のための自分の誕生月プレゼントに「丸福楼 泊」を用意した。存在をしって、そのころ仕事をしているか健康状態がどうか不明ながら、秋ならばきっとと予約をいれたのだ。
前回の上洛は2年前、理由がすさまじく(縁切り神社にいきたくて)コロナ渦も重なり(いまもだけど)お忍びもいいところ。空にも気持ちにも恵まれず、次は堂々! 楽しい目的で! と暗闇を走る上りののぞみで誓ったっけ。
それを越えての(クリアではなく逃亡ですが)「ぶらさがり人参」丸福楼である。在住の友人に会ったことなどの詳細も後日、記したいと思うが。
東も西も好天続きの週の終わり、終日100%雨予報がでた11月13日。京都駅に着くなり襲う土砂降り…萎えに萎える。なんの禊か。
タクシープールの大行列。SNSでの「京都の近距離客へのタクシー運転手のイケズ風評」に怯え、まともときいたMKオンリー乗り場を目指すもこちらも当然の人だかり。おおいにひるんだが30分ほどの待ち時間で丸福楼へと向かうことができ、舌打ちや「歩けますよ」といったクソバイスも頂戴せず済んだ。ほっ。
荷物(デイパック→デリポの古賀さんに倣って「無印の肩の荷が軽く感じられるあれ(PC持ち運びにばっちり)」を2個買いした。ひとつ2990円。いにしえ狂ったように使ったシャペリエと変わらぬ見た目で値段は五分の一。でもさ、ネットをにぎわす「服の値段問題」にも抵触するけど、バッグ「だって」高価なほうが人間を素敵にみせるのよ。ホテルにモノグラムのスーツケースであらわれた客人、ものすご~くかっこよかったもん。あと、私見だが、サブスクより古い服を大事に着まわすほうがずっとずっといい。服飾品の賃&時間貸しは着物限定にしてほしいわ~昭和育ちのたわごとかしら~)を預けて、移動用バッグ(こっちはかっこいいやつ)ひとつで、雨降る町へ。
在住の友とランチののち南禅寺に向かい、哲学の道を法然院あたりまで歩き、風雨に抗えず地元(市内2軒のチェーン店だそう。それはチェーンなのか)の喫茶店で湧き出る泉のようなおしゃべりをし、「いづうの鯖寿司を持ち帰る!」願望をかなえるべく祇園方面に移動したあと、京阪四条で解散した。
よろしければ夕ご飯も、というありがたいお誘いを「ちょっと疲れちゃったので」と辞したのは(実際「死ぬほど疲れていた」せいもあるが)丸福楼のラウンジで一杯飲みたかったからだ。
「バーでさっと飲む」のはごく最近の自分の小さな目標で、喜びだ。体質ゆえに避けてきた「飲酒」だが、一杯二杯飲んでふわっと帰る、そういう「軽やか(苦笑)」な行為を生活にいれたいと、この年齢になって突如思い始め。
いや、貧しいですよ暮らしは。自慢じゃないが、ぎりぎり。むしろ赤だ。けど、やりたいことが浮かんだとき、できるならすぐ着手しないと1週間後にはやれなくなったり気が失せてしまったり。「さほどしたかったわけじゃないんじゃん?」という判断もできようが、欲望やなにかに向けた好意を、自ら摘むのは「違くね??」と。これ以上自分で自分を削りたくない。自衛の観点からも「できるだけやりたいことをやりたい」自力でやれる範囲ならば。そのひとつが「バーでさっと飲む」なのだ(二度かくと我ながら情けなさも感じるが、誰に迷惑かけるわけじゃなし)。
みたいな心情と、丸福楼は相性がとてもよかった。
シャワーを浴び、22時前に訪れたラウンジには初老のご夫婦が一組。ひとつ離れたテーブルで白ワインを二杯とチーズの盛り合わせを静かにいただいて部屋に戻る。
くくく、些細だが確実な。これを幸福といわずして…!
こじんまりと静かで(ラウンジやカウンターでほかの滞在者ともすれ違ったけど、コロナに関係なくオールインクルーシブだからって飲み放題~みたいな輩は皆無。都内のウエディングプランありの5つ星のほうがよほど、よくいえば「華やか」悪くいうと「やかまし~落ち着かね~」。ライブラリーも貸し切りだったし、ひとりひとり丁寧に食事のスケジュールを組んでくれ、部屋もスイートなんかじゃなかったけれど感動の静けさと真っ暗さ。水回りも広く、お風呂としてもシャワーブースとしても使い勝手のよいしつらえ)格式高いというよりも、ただただ「趣味がいい」「狭い射程を狙ってくる」ホテルだった。
気に入ってくださるお客様へ届けば、を貫く姿勢がたいへん好みだった。京作法の極みなのかもしれない。
とにかく建物が細部にわたってかっこいいので、みなさんみるだけでも。とおすすめしたいところだが、公道に面した入口に「宿泊者以外これより先はご遠慮ください」ってバシーン! だから。しびれる。
私はゲーマーではないため残念だが、そちらに興味のあるひとならば別の方向からもめっちゃ楽しかろう。ライブラリーには、かるたやカードから始まる、各世代のアレが。マザーが。マリオが(語彙)。
朝と夜の食事は別棟のレストランでとるシステムで、ここがまた素敵空間(宿泊客優先。空きがでれば一般の予約も受けつける)。
朝を和食でいただいたのだけれど、料理好きな女子たちが気持ちよく働いていて、口コミサイトでは「量が少ない」とか「愛想が」「味が」などともかかかれていたが、おじさんのなかにはそう思うひともいるかもね…って感じ。入れ違いの若いカップルはとても幸せそうに「ごちそうさまでした~」「おいしかった~」って眼レフもって去っていったし、量も味も、私は満足でした。
なにより。どんな高級なホテルであってもビュッフェを避けたい人間としては、お皿を整えておいてくださるだけでニコニコ。ホテルの朝ごはんはサーブされたいよ。されない緊急事態下ならおとなしくしてるよ…。
そんなこんなで非常に楽しめた滞在だった。ありがとう丸福楼。
丸一日いてこそのオールインクルーシブなので、連泊が望ましいけどね。そんなお大尽になれたらね。
(余談だけれど、ホテルのかたと宿泊者から「お召し物が素敵」という世にも光栄なHOMEを頂戴したが、振り返ってみてもいつだってそれは「高い服」を着ているときなんだよな。服褒められるのがなんなの、生活第一でしょ、中身空っぽのドアホが、とかいわれちゃおしまいだけども、自身「おしゃれ~」と感じるひとは服そのものも「いい」ことが圧倒的に多いし。低価格低品質大量生産では難しいだろ、コーディネート力を育てるのも)