よくみえるってどういうこと?

あいかわらず誰の役にもたたないだろう日記

はっきりきめた

伊東にいくなら、と幼少時より刷り込まれながらハトヤへ寄ることなく生きてきた。通算3度おじゃんになっているのだ。直前キャンセルも。

今回は、夢で終わるかと思われた「ハトヤ宿泊」をかなえた記録である(おおげさ)。

母が師走に緊急手術&入院し、お正月は温泉で~なんつう悠長なすごし方が不可能となり(ハトヤごときでと思う向きもあろうが)こうも続けて他人の事情(誰も悪くないからこそたまる鬱憤)で無期延期は…正直憤懣やるかた…が顔に出ていたのだろう。あわせて年末の娘の不憫な様子。

病床(一刻を争う類ではない。さすがに)の母から「ひとりでいってきなさいよ。温泉つかって、海鮮食べて!」と薦められ、ソロハト…逆に自分らしい新年の迎えかたでは、と考えた。団らん、社員旅行、家族ぐるみのお付き合い etc.の象徴である空間にひとり参戦…。

といった流れでホテルに1名キャンセルを伝えたところ「年末年始はおひとりさまの受付はしておりません」HA??「ひとりで知らん顔していって、チェックアウト時2人分払えばいいんですか? 布団2組敷いてもらって。形だけ?」「そうですね。聞かなかったことにするんで」なんだそれ。とどめは「お友だちとかいないんですか?」HA???

バイトっぽい若い男。友だち、確かにほとんどいませんが、いきなり正月明け2日伊東にこれるひといないでしょ! 既婚でも独身でもそれぞれ用事があるでしょ! 旅行の予定入れてるでしょ!

社会は単身者になぜこう…と嘆き憤ったが「いいじゃん、ひとりでいけば。お金もったいないけど」との冷静なレスポンスを各所から頂戴し(ふだんの行いがしのばれるわね)よし、ならば。

と、予約をそのままにしていたら。驚き。年の瀬、TさんからLINEが…!「迷惑じゃなかったらハトヤご一緒してもいいでしょうか~」迷惑なわけはない。とはいえ日が日だ、既婚者ですし「気負わずその日に来れたらでOKよ」つって、私は私で自由にのんびり踊り子号乗車、伊東名所「東海館」を訪れて展望台にまで上り、伊東名物「うずわ飯」をわしわし食す。

駅に戻って送迎バスに乗り(ナンバーは4126。ヨイフロ。隠すどころか番号が広告になった時代があったのさ)ロビーでチェックインタイムを待って…とかやってるうち「伊東についたど~!」。

Tさんの爆上がりは半端なかった。こちらまでうれしくなるほど。そうなのよ。かわゆいバスが迎えにくるさま。ジブリ的「異世界」を感じる山の道(敷地に入る前からチェンジが始まる)。やがてあらわれる大ホテルの全貌!

合流~お茶~おしゃべり~。の前に。部屋の豪華さを称え、例の通路やエントランスで撮影大会。そう、こういうのはひとりではできない。めいっぱい楽しまないと。

ご飯は夕食も朝食も大食堂(シアター)でビュッフェ。ビュッフェ忌避派ながら、ハトヤに合うのはこっちだろう。浴衣にスリッパのお父さんお母さんおばあちゃんおじいちゃん。この場にひとり…と考えると…うん、でもそれもおもしろかったかもと考えてしまう自分が怖いけれど、むろん「お友だちとふたり」より愉快な温泉宿滞在などありゃしない。

イエーイつって夕飯食べてショップを流し、彼女は大浴場へ、私はバーへ! おう、いくさ、いくとも。店名は「花」。しびれちゃう。なかを覗けない木の扉、重厚なインテリア、ゆらめくシャンデリア、山下洋輔ライクなバーテン。完璧である。お値段もめっちゃ良心的で、東京のスノッブなバーにも見習ってほしいわとかきたいけれど、目指すものが違うから。しかも私はモスコミュール一杯の女、偉そうなことをいえる立場ではない。欲望執行人として、ささやかな喜びを味わうのみ。

ごきげんでTさんと入れ替わりにひと風呂浴び、あとはお茶してお菓子食べて、おしゃべりおしゃべりまたおしゃべり。

彼女は近頃「(素敵な)お茶とお菓子」にはまっており、この日も山ほど持参してくれたのだ。ありがたいありがたい。おいしくてかわいらしいものがあふれる部屋には、笑顔しか似合わない。

積もる話やリミッター外しトークもしたけれど、いつものだらだらがさらにだらだらになった感じかな。

正月の海と青い空と温泉とお菓子とおしゃべり。思いがけない流れで、ふいにおもしろい未来が舞い込むこと。

新しい年はこんなふうにすぎてゆくのだろうか。