コロナ禍に区切りをつけ(人間が)数年ぶりにやってきた外出制限なしの大型連休。みなさまいかがおすごしでしたか?
私はおしゃべりづくし。対面トークの効力と情報量に圧倒されておしまい。ご飯食べてくだらない話をするだけで毎日ぐったり日が暮れた。いやめちゃくちゃ楽しかったけども。
5/2(火)
就業後、別会社の(勤務先のビルは雇われ元の持ち物で、グループ企業がいくつも入っている。何階のどこで働いてもよいフリーアドレス、同じ部署で面識ないひとも、違う会社だけど立ち話やランチにいく仲になったひともいる。マスク&自由席、他人の名前と顔を覚える機会も意欲もゼロのまま1年たった)女性とご飯。11時まで飲み食いするなんていつぶりか。
人生のピークについて、猫のすばらしさ、老親の世話、健康トーク、職場の「気になるひと」(ラブではない→も~ラブの話とかようせんわ! 足音のでかいやつはやばい、毎日「ちょっと」遅刻するってなんなん、ひとによってあからさまに態度かえる人間への嫌悪)などなど、彼女とは笑いや怒りの感覚が近いことをいっそう確信した。おまけに明日から連休だ! 浮かれて帰宅する。
彼女は顎が外れるほどかっこいい地区在住なのだけれど、恵まれた環境にぴんときていない様子だった。あのあたりの住所ほしさに築50年17平米の部屋を借りるひとなどを昔の雑誌はけっこう揶揄していたが、いまは個人情報のアレもあるし誘拐も強盗も怖いしな…(ちなみに本人は「前髪を作るかのばすか」で目下悩んでいる)。
5/3(水)
メゾンエルメスでアッバス・キアロスタミの『桜桃の味』をみたあと、近場旅行の特急&指定券をとる。
映画は、初見同様「非常に疲れた。が、すばらしかった」。貧乏&絶望コンシャスなナウのほうが削られ度が深かったかも。砂ぼこり舞う荒涼とした赤土道を車で走り続ける。『WANDA』(女性貧困ムービーの金字塔)もだけれど、錆びついた大型機械が轟音とともに稼働、ただただ石や土を掘削しては捨てるシーンの連続で観客の目もからっからに乾く。労働者はみな泥と汗にまみれ疲れ切っている。
こんな画像を2時間凝視し、それでも鑑賞後あたたかいものを感じとる。ひとはバカではないと信じたい。
5/4(木)
期間労働をした「大企業の経理部」の同期(なにひとつ覚えていない。彼女も半年でやめた)とランチ。去年も初夏に会ったような。お互い年一の顔合わせ、がほどよい間柄なのだと思う。あるある~。
受験がどうとかいってたご子息も中学2年生。母譲り(父もかも)のオタク気質により、前日まんだらけで母子ともども散財したそうで。その行きかえりに! 写真の「リアル」モコゾウフィギュアをガチャで(5種類のうち誰もが「リアル」を当たりと考える造型)一発目にして!ゲット。未開封の状態でプレゼントしてくれたのだ。あけた瞬間の私のアドレナリン放出ときたら!
えらい! でかした! こちらの大喜びぶりに相手は完全に引いていた。小田のチケットと同じく「無邪気」なほうにチャンスの神は微笑むらしい。
5/5(金)
Tさんと臨時おしゃべり会開催。ここぞとばかりに昨日のモコゾウフィギュアをみせびらかす。甲斐ある興奮リアクションを得て大満足の私。わかってくれるひとじゃないと~。
お楽しみ企画について練るつもりだったが、通常モードのトークのみで時間切れ。幸せなおしゃべりこそふわっと消えゆくもの。内容はちょっと記憶に…。
あ、平成のいい女代表女優の詳細ヒアリングがあったか。さばさばしたいいひとだそうです。でしょうな。
5/6(土)
春樹ブッククラブ19期最終回。
涙涙の…はまったくなく、参加者などさすがのGWでたった3名(+飛び入り1名)。このドライさがメンバーらしいとも。
課題本は『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』。インタビュアーの亡き島森路子さんへの憧れと敬愛を切々と語り、若人をつい置いてけぼりにしてしまう私だったが、前期と同じくしみじみ楽しかったわ~とふりかえる。
マウントをとるひとに出会わないのだ。そんなやさしい世界が2023年に存在するなんて。村上氏まわりへの知識や読み込みの深さはもちろん、職業、年齢、性別、属性で優劣を設けられないひとの囲まれ、自由に話ができる。好きなものを嫌いなひとがいても無駄に戦わなくていい。
途中で「もう充分かな」と思ったけれど、またふと参加してしまいそうな予感…。ともあれ。メンバーのかたがた、書店主、お世話になりました!
5/7(日)
一週間前倒しの母の日祝い。叙々苑の焼肉ランチをごちそうした。主役のリクエストである。
食欲旺盛でなにより。といいたいが、年末骨折して手術&入院、その後すっかり杖生活突入。老人に「元気」まで願うのは酷だ。おいしいおいしいつって、小鉢残しつつ(肉を食べきるために)平らげ、喜んでくれたのだから成功と考えよう。
この日は途中ものすごい土砂降りになったが、めげずにおしゃれパン屋で夜と翌日用のパンをゲットし、タクシーで帰った。肉が高いのはしかたないけれど、パンの値段は「冷静に考えないようにせねば」の域。いつからこんなことに…。
休暇中は本もいくつか読み、きわめてふつうの感想で恐縮だが、西加奈子さんのものが強く心に残った。とあわせて、品田遊氏の『キリンに雷が落ちてどうする』を予想以上に楽しんだ。
品田氏の文章は最近のものでコロナ禍も描かれ、思考や文体が古いなんてまったくないのだけれど、なぜかとてもなつかしい。ちょっと前はこのようなことを(もっとまとまりなく、はるかレベルの低い断片ではあっても)誰に頼まれなくてもしょっちゅう考えたりメモしていた気がするのにな。
私に限らず、こっち側のひとびとはいったいどこにいってしまったのか。な~んて問いかけちゃってるが、自分も立派に「もうそこにはいない」わけで。切ない。