よくみえるってどういうこと?

あいかわらず誰の役にもたたないだろう日記

パーパス!

松本へいってきた。

『水車小屋のネネ』で蕎麦欲がはねたのだ。理佐と律のたどりつく、水車で挽いた蕎麦粉でつくるおいしい蕎麦屋。小説だからもちろんその地はフィクションで、イメージとしては「安曇野」が近いのだろうけれども、あそこは車がないと難しいし、水車を備えた蕎麦屋となればさらに。

松本だな。松本しかない(水車はなくても川が流れ、山があり、うまい蕎麦が待っている)。

5月なら季節もいいはず。最終日曜日の夜一泊。宿は以前も感じのよかった花月にした。

中旬より一段階ディスカウント設定だったのは梅雨が近いせいかと考えたが(実際月曜日は雨模様)実は年に一度のクラフトフェアが行われる週末で、市内は激しいにぎわい。なんなら蕎麦を食べ損ねるほど…!(恨みはそこ)イベントを知らず興味もないのに当てていく俺クオリティよ。

さておき。

傑作にふれたTさんも「蕎麦! 山! 水! 松本!」と声をあげてくれ、行きかえりは自由なスタイルで合流しようと。15時、まるもでね。OK~。

新宿8時発のあずさは10時40分に松本到着、前回ふられた「野麦」をめがけ一直線。お店は11時半オープンというのに、11時前到着で8人目。戦い…。10席ほど、お昼のみ、ざる一択のいさぎよさ&さすがのおいしさ。相席の女性と「おいしいですね!」「おいしいです!」と笑顔でいいあい、上機嫌でホテルを目指す。

荷物を預けて、バスで民芸館へ。ここは好事家にはマスト、ふつうのひとにもおすすめスポットだ。展示物がなにしろひとつひとつ魅力的で、窓に広がるのどかな風景に目と心を癒される。茶色い部屋はいいな。うちの床ももっとこげ茶にしたかった…でもこの額縁だから活きるってのも…

などと考えながらゆっくりひとまわりし、バスで街に戻ってもまだまだ時間が。まるもに早めに入ってぼ~っとするか。それもまた贅沢な旅のすごしかた。

なんつってドアを開けたら、あいにくの満席で「お相手がいらしてから一緒に入店ください」。しかたない。ホテル併設の喫茶店(素敵)にいき、ネルドリップブレンドコーヒーゼリーを食し(床より先に体が茶色くなりそうなコーヒー摂取ライフ)まるものドアを再びたたく。

Tさんは7時のあずさで到着し、クラフトフェアも民芸館も堪能したとのこと。彼女くらい手芸に秀でていればフェアも楽しかろう。

お茶のち、ちきりやに赴いて歓声とともにお互い器を買う。丁寧な暮らしもせず、民芸通でもない私だけれど、このお店には毎回テンションがあがる(連日通っちゃったりね)。本気と根性を感じるのよ。以前いらしたおばあちゃんの姿が確認できず残念だったけれど、しびれる包装紙もかっこいい紙袋も健在だった(いまどき無料! 泣かせる)。

全体に、コロナ禍を経てもほとんどのお店が残り、ひとが優しく親切で会話を厭わない、松本はとても気持ちよい都市だと思う。これでネネに「ま、ま、まきちゃん、きたね!!」とかいわれたら最高なんだけどな~(混濁)

寝言はともかく、皿をかかえて花月にチェックイン(旧館ツイン。かわいいお部屋でした)Tさんは駅へ荷物をピックアップにいき、私は部屋でぼんやりし、夕飯のため「こばやし」(いわずもがな蕎麦屋)で集合するが、なんと! 蕎麦SOLD OUT!

短い滞在時間、数少ない食事、蕎麦しか食べたくない!!(めっちゃ蕎麦蕎麦いってんな)18時以降ほとんどの店が閉まる大通りをさまようふたり。

あ、あそこに、ひとの並ぶ蕎麦屋が!(=営業中)よし! 名前をかき、多少待って入店。メニューをみたら「きのこそば」があるではないか。守の!(違うけど)りっちゃんが愛した!(違うけど)松本の夜、絶望の先でいただいた「きのこそば」は、ネネが番をし石臼で挽いた蕎麦粉じゃなくても充分おいしく、温かいおつゆがしみた。

成し遂げた気持ちでホテルへ向かい、お風呂に入ってお菓子とお茶(すべてTさんの持ち込み。いつもながらごちそうさまです!)をおともに長い長い夜をおしゃべりに費やす。

部屋着&洗い髪のまま、甘いものを半分こして「忘れなさ」や「虚無」について思うさま語り合う。尊い。得難い友人に出会えた乙美に…(何万回目よ?? 以下略)

翌朝は、ホテルの喫茶店で愛らしくも豪華なモーニングセットをいただき、Tさんはお城へ出かけ、私はチェックアウトぎりぎりまで部屋で憩って、蕎麦屋でランデヴー。お昼は「源智のそば」。

以前きたときも思ったけれど、ここ、おいしいのヨ~(というかまずい蕎麦屋は松本にない)。そこはかとなくオシャレでカフェっぽく、岩松了似のおじさんがもうひとりのおじさんと仲良く経営しているのもほほえましい。

私は早めのあずさに乗る算段、出発まで駅近くの珈琲美学アベにいくTさんと甘味をご一緒させてもらう。初めて入だったけど、アベいい、いいネ! また来ようぞ…。

ひとしゃべりのあと松本駅でお別れし、のぼりのあずさのひとになった私。うつらうつらしすぎて、何度も窓に頭をぶつける出張帰りのサラリーマンプレイを披露しまくったけれども。

松本は変わらずいい。『水車小屋のネネ』もめちゃくちゃいい。両者に関係はないかもしれないけど、蕎麦なんてそもそもいいに決まっている。要するに、まるっといい小旅行だった! クレバー!